ADHD特徴
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ADDとADHDの違い って何?ADDについて詳しく知ろう!

公開日
更新日

 
執筆者:須賀 香穂里(ライター)
 
医療監修:株式会社 とらうべ
 
 
 ADHD(注意欠陥・多動性障害)は不注意・多動性・衝動性を主な特徴とする発達障害です。ADHDの症状が出始めるのは多くが子供の頃、7歳未満であり、本格的に症状が出始めるのは3~6歳の頃とされています。
 
 しかし最近、大人のADHDが注目されてきています。
 大人のADHDは、基本的な症状は子どもと同様ですが、「多動性」という側面については成長するごとに落ち着いていき、ADD(注意欠陥障害)と呼び名が変わることがあります。
 ここでは、 ADDとADHDの違い について、ADDの特徴を踏まえながら説明します。
 
 

ADDとADHDの違い :最大の違いは「多動性」

 
 ADHDとADDの最大の違いは、ずばり「多動性」があるかないかです。多動性というのは、年齢に見合わない落ち着きのない行動のことを指します。例えば、
 

  • ・授業中など、大人しく座っているべき状況で立ち歩いたり、騒いでしまう
  • ・座っていても終もぞもぞと動いて落ち着かない
  • ・長時間座っていることが苦痛
  • ・どうしても手足を落ち着きなく動かしてしまう

 
などの症状が挙げられます。ADHDの場合はこれらの症状が多く見受けられますが、ADDでは基本的にこれらの多動性は治まっているものと考えます。
 特に大人の場合では、子どもの頃にADHDと診断されていた場合でも年齢を重ねるにつれて多動性は治まっていくことが多くあります。これは大人になるにつれて、周囲との関係を円滑に進めるための技術を学んでいき、「○○という状況では大人しくしているべきである」といった知識を身に着けるからだと考えられます。
 
 

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ADDとADHDの違い :ADDの特徴とは?

 ADDは、長い間集中していられない、うっかり忘れが多いなど不注意や衝動性の症状がメインのものを指します。ADDは職場や家庭、交友関係など幅広い面において影響を及ぼします。以下はADDの人に現れがちな症状の例です。
 

  • ・気分にむらがある
  • ・予定を詰め込みすぎる
  • ・しょっちゅうスピード違反で捕まる
  • ・プロジェクトがやり遂げられない
  • ・しょっちゅう物を失くす
  • ・整理整頓ができない
  • ・金銭管理が苦手
  • ・人の話に割り込む
  • ・すぐかっとなる

 
 これらの症状はADHDにも共通している不注意・衝動性の特徴に基づいたものです。このような症状がときどきではなく、「常に」「幼少時から」持続している場合、ADDの疑いがあります。
 また大人になると、これらの症状に加えて
 

  • ・不安障害
  • ・うつ病
  • ・薬物依存
  • ・アルコール中毒

 
などといった様々な疾患を併発してしまうことがあるため、早期発見・早期対処が重要となります。
 
 

ポジティブな面もある

 上記のような特徴を見ていると、「ADDはとても生きづらい障害」というようなネガティブな印象を持ってしまいがちですが、ADDにはポジティブな側面もあります。例えば、
 

  • ・想像力が豊か
  • ・一度に複数のことを効果的にやり遂げられる
  • ・ユーモアのセンスがある
  • ・手が器用
  • ・敵意や恨みをサラッと流すことができる
  • ・既成観念にとらわれずに物事を考えることができる
  • ・興味のあることにとことん集中する意欲が持てる

 
などといった特徴です。「忘れっぽい」「突拍子がない」などというとマイナスなイメージですが、それを違う側面から見てみるとこれらの特徴はプラスな特徴にもなるのです。
 
 

ADDとADHDの違い :ADDの6つのタイプ

 
 ADDやADHDはその症状の現れ方から、大まかにいくつかのタイプに分けることができます。ADHDの場合では、
 

  • ・不注意優勢型:忘れ物が多い、授業に集中できないなど
  • ・多動、衝動性優勢型:動かずにはいられない、行動をコントロールできないなど
  • ・混合型:不注意・多動性・衝動性のすべてをもっている

 
という3つのタイプに分けることができます。それに対してADDは、
 

  • ・典型的ADD
  • ・不注意型ADD
  • ・過集中型ADD
  • ・側頭葉型ADD
  • ・辺縁系型ADD
  • ・「火の輪」型ADD

 
の6つのタイプに分けることができます。
 
 

典型的ADD

 このタイプは名前の通り典型的なADDの症状が現れる。その症状というのは、
 

  • ・ちょっとしたことですぐ集中が途切れる
  • ・他の人の話をじっと聞いていられない
  • ・整理整頓が苦手
  • ・用事や仕事をなかなか仕上げられない
  • ・物をよく失くす、うっかりミスが多い

 
などであり、このような行動は周囲から浮いてしまい注目されやすいため、比較的早い段階で発覚することが多いです。というのも、このタイプのADD患者は赤ん坊の頃からよく泣き激しく身をよじり、あやしても効果がないなど育てにくさが際立つために「何かおかしいな」と保護者が気づきやすいのです。
 
 

不注意型ADD

 ADDの中で二番目に多いとされていますが、その症状の特徴からなかなか診断されづらく、気が付かれにくいタイプとなっています。というのも、現れる症状が
 

  • ・整理整頓ができない
  • ・集中力が続かない
  • ・物をよく失くす
  • ・物忘れ、うっかりミスが多い
  • ・つい空想に浸ってしまうことが多い
  • ・動きが鈍く、他人から無気力そうに見える
  • ・ぼんやりしているように見える

 
などのように誰にでもありがちなものが多く、外側から見て「怠け者」「変な奴」「やる気がない」などと判断されてしまうことが多いからです。典型的ADDのように衝動的な行動で誰かに迷惑をかけることが少ない代わりに、症状の問題に気づいてもらいにくいのです。このタイプは女児に多いとされています。
 
 

過集中型ADD

 このタイプを持つADD患者は、ADDの基本的な症状を全部持っているうえに、注意の対象を切り替えることが非常に難しく、困った発想や行動の繰り返しをやめられなくなるという特徴があります。このタイプでは不注意などの基本症状に加え、
 

  • ・必要以上に、あるいは不合理なことを心配する
  • ・人の意見によく逆らい、理屈っぽい
  • ・いけないことだとわかっていても繰り返しやってしまう
  • ・嫌なことがあると拗ねたり、根に持ったりする
  • ・ひとつの話題から次の話題へ切り替えるのが困難
  • ・物事には決まったパターンがあり、少しでも外れるのがいや

 
などの、はたから見れば神経質ととられがちな症状が見られます。このような特徴から、過集中型ADDの患者はアルコール依存や薬物依存を併発していることが多いです。
 
 

側頭葉型ADD(10)

 このタイプは基本症状に加えて深刻な行動上の問題を伴うことが多くあります。症状としては、
 

  • ・ささいなことで癇癪を起しやすい時期がある
  • ・人に言われたことを一方的に悪い意味で解釈する
  • ・一時的に頭がぼうっとしたり、混乱したりすることがある
  • ・特に理由もないのにパニックや恐慌状態に陥ることがある
  • ・デジャヴをよく経験する
  • ・神経質で、軽い妄想がある
  • ・普段より物覚えが悪くなる時期がある

 
などが見られます。
 このタイプのADD患者は、気分の安定や怒りの抑制、学習などを司る側頭葉の働きが低く、LD(学習障害)を併発していることもあります。また家庭内暴力や自殺などとの関連も深く、治療の難しい患者が多くいるようです。
 
 

辺縁系型ADD

 このタイプは、基本的な症状に加えて、
 

  • ・むっつりと不機嫌である
  • ・マイナス思考が多い
  • ・エネルギー不足
  • ・些細なことでイライラする
  • ・人付合いが少なく、孤立しがちである

 
などの傾向がみられ、うつ病を併発しやすいタイプです。
脳の深部辺縁系と呼ばれる部分は「気分の方向」を設定するなど感情に深くかかわっており、ここの活動が活発になると人の感情は悲観的で、落ち込んだ状態になります。辺縁系型ADDでは、この深部辺縁系が過剰に働きすぎてしまうことにより上記で示したような傾向がみられると考えられます。
 
 

「火の輪」型ADD

 「火の輪」という名前は、このタイプのADD患者の脳の活動をスキャンしてみた時に、過活動の部分が脳をぐるりと取り囲むように現れ、脳が火に囲われているように見えることから命名されました。
 このタイプのADD患者は、基本症状に加えて
 

  • ・怒りに満ちて、攻撃的である
  • ・騒音や光、摂食などにひどく敏感である
  • ・気分が頻繁に変わる
  • ・融通が利かない
  • ・何をやらかすか想像がつかない
  • ・早口である
  • ・臆病そうに見える

 
などの傾向がみられます。
 
 

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ADDとADHDの違い :症状に合った対応を

 ここまでADHDと比較しながら、ADDの症状の特徴をご紹介してきました。タイプ分類でもわかるように、ADDといっても現れる症状は十人十色で、脳のどの部分がかかわってくるのかも少しずつ変わってきます。
 ADHDやADDのはっきりとした原因はまだ分かっておらず、根本的な治療方法は確立されていませんが、症状を抑えてより生きやすい環境を整えるためにはその人に合った治療法を模索する必要があります。
 ADD、またはADHDかどうか気になる方は専門医に診断を受け、この発達障害について正しい知識を身に着けることから始めましょう。
 
 
【参考文献】
(1) LITALICOジュニア『ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状が出はじめるのはいつ?』
(2) ロバート・J・レズニック(臨床心理学協会)(2003).成人のADHD 臨床ガイドブック 東京書籍株式会社 pp.35-39,71-75
(3) マーク・セリコウィッツ(発達小児科コンサルタント)(2000).ADHDの子どもたち 金剛出版 pp.16-24
(6) Stephanie Moulton Sarkis(フロリダ・アトランティック大学非常勤准教授)(2010).きっとうまくいく10の解決法シリーズ 大人のADD 慢性的な注意欠陥を克服するメゾット 創元社 pp.18-20
(8) オアシスの木『ADHD(注意欠陥多動性障害)の知っておきたい3つのタイプとは?』
(9) ダニエル・エイメン(エイメン・クリニック医師)(2001).「わかっているのにできない」脳1 エイメン博士が教えてくれるADDの脳の仕組み pp.129-
 
 
<執筆者プロフィール>
須賀 香穂里(すが・かほり)
神奈川大学人間科学部・人間科学科所属
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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関連した情報として以下のようなものがありますので、ご参考にしてください。
 
厚生労働省が運営する、生活習慣病予防のための健康情報サイト『 e-ヘルスネット』では
AD/HD(注意欠陥/多動性障害)の診断と治療というページADHDについて紹介しています。
 
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ADHD含む発達障害を分かりやすく説明した動画として以下のようなものがありますので、参考にしてください。

 

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