ADHD特徴

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ADHDの特徴とは。 シーン別、大人 / 子ども別に解説

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更新日

 
執筆:須賀 香穂里(ヘルスケアライター)
医療監修:株式会社 とらうべ
 
 
ADHD(注意欠陥・多動性障害)は発達障害のひとつです。
 
この発達障害は、米国精神医学会による診断基準(DSM-IV)によれば、人口の5%がADHDであるという統計があります。
 
ではADHDとはいったいどんな発達障害なのでしょうか。
 
ここでは ADHD全般について説明した後、ADHDの症状の特徴 について、シーン別・大人/子ども別に分けて詳しく解説していきます。
 
 

ADHDとは?:3つのタイプ

 
ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder;注意欠陥多動性障害・注意欠如多動症)は、著明な不注意、多動、衝動性の3種類を主症状とし、それぞれの現れ方によって、次の3つのタイプに分かれる発達障害のひとつです。
 

不注意優勢型

 
●不注意(注意散漫、集中力欠如、忘れっぽさ)が顕著で、多動性・衝動性が目立たない
●女児・女性に多い
 

多動性・衝動性優勢型

 
●衝動的な言動や落ち着きのなさが目立ち、不注意が目立たないタイプ
●男児・男性に多く、子どもの頃に目立ち、大人になると次第に収まる
 

混合発現型

 
●不注意と多動性・衝動性が同じ程度に目立つ
 
ADHDは発達障害の中でももっとも頻度が高く、日本では3~7%の発症率といわれ、中でも、混合発現型はADHD全体の8割を占めるとみなされています。いずれにしても、個人差が大きく、成長に伴う変化が大きいことが特徴で、ひとくくりにできない病像だと専門家は指摘しています。
 
 

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ADHDの原因

 
『DSM-5(米国精神医学会発行「精神疾患の分類と診断の手引き」最新版)』では、神経発達障害と呼ばれているこのカテゴリー。ハッキリと発達障害は脳の機能に偏りがあることが原因だと強調されています。
 
ADHDの場合、自己コントロールを状況に応じて適切に行う「前頭前野」と、運動をスムーズに行うための調節を担っている「尾状核」に障害が生じていると解明されています。
 
前頭前野の血流量が少なく機能が充分に働かないことで、感情抑制、集中力維持、思慮深さ、行動計画、作業記憶(ワーキングメモリー)が障害されるとされています。

 
また、尾状核は機能が正常な人と比べると小さい傾向があり、前頭前野との連係が弱いことも指摘されています。
 
さらに、脳内の神経細胞どうしの連係を助ける神経伝達物質の作用の弱さも考えられています。とくに、ドーパミン、ノルアドレナリンといった興奮性の脳内ホルモンが活発に働かないことが影響しているようです。
 
 

ADHDの症状

 
不注意優勢型は子どもの頃からおとなしく、目立たないことが多く、障害に気づかれにくいこともしばしばです。むしろ、成人してから「自分がコントロールできなく」て、結果として、不注意だったり注意散漫だったり、忘れっぽいことが障害だと理解できるようです。
 
反対に、落ち着きのない「多動性」は、成長とともに症状が治まる傾向があり、子ども頃の方が目立ち、成長するにつれて目立たなくなります。
 
 

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ADHDの診断

 
上に挙げた『DSM-5』は一般的な診断基準です。
 
初発年齢が12才以前で、次の2つのいずれかが当てはまる場合で、子どもの場合は6つ以上の項目で6か月以上続いていること。
 
大人の場合は、5項目を満たすことです。
 
1.注意欠陥
 

  • ・不注意
  • ・注意力困難
  • ・話しかけられても聞いていない
  • ・指示を最後までやり遂げられない
  • ・筋道たてることが困難
  • ・持続的な精神的努力が苦手
  • ・必要なものをなくす
  • ・刺激で気が散りやすい
  • ・忘れっぽい

 
 
2.多動性・衝動性
 

  • ・ソワソワやモジモジ
  • ・教室などで席を離れる
  • ・落ち着きがない
  • ・落ち着いて遊んだり余暇活動することが困難
  • ・じっとしていない
  • ・しゃべりすぎる
  • ・質問が終わる前にだしぬけに答える
  • ・順番を待てない
  • ・他人をさえぎったり割り込んだりする

 
 
こうした基準をもとに、本人や家族から病歴の問診をしたり、CAARS(コナーズの評価スケール)などの専門的なチェックリストを用いること、知能検査、学業成績などを総合的に評価して、診断はくだされます。
 
上にも述べたように、臨床像は多様で個人差も大きいので、専門医の診断を仰ぐことは重要なことだと思います。
 
とくに大人を診る専門医が少ないので、「発達障害者支援センター」に相談することをおススメします。
 
 

ADHDの特徴、「多動性」

 
それでは上で見てきた診断基準を踏まえ、具体的にどういった特徴が見えるのか「多動性」の例から見ていきます。
 
「注意欠陥・多動性障害」という名前のごとく、この発達障害を持っている人はその多くが「多動性」をもっています。
 
言い換えると「よく動き回る」という意味です。
 
活発な活動は誰にでもある行動で、やる気がないよりはむしろ好印象ですよね。
 
しかしここで言う「多動」は、年齢や状況に見合わないほどの「落ち着きのない行動」なのです。
 
 
《子どもの場合》

     

  • ・授業中など、おとなしく座っているべき状況で席を立ってしまう
  • ・座っていても終始もぞもぞと動いて落ち着かない
  • ・よく「もっと落ち着いて行動しよう」と注意される
  • ・おしゃべりが止まらない。大声を出す

 
 

また何度注意しても一向に落ち着かない・同年代の子ができることができない、といったようなことが起こります。
 

「小さな子どもなんだから、そのような行動をとるのはしょうがいない」と思う方もいるかもしれません。もちろん幼い子どもが落ち着かない行動をとるのはそれほどおかしなことではありません。
 
しかし、このような「落ち着かない」行動は、成長するごとにだんだん落ち着いてくるものなのです。
 
ところが成長して小学校に入学しても、幼稚園の頃のように好きなように動き回ってしまう子どもがいます。年齢に見合わない「落ち着きのなさ」がある児童は、ADHDの可能性があるのです。
 
 
《大人の場合》
 

  • ・長時間じっとしているのが苦痛
  • ・どうしても手足を落ち着きなく動かしてしまう

 
 

しかし大人の場合は多動の症状が見られない場合も多く、子供に比べて症状がそれほど顕著ではありません。
 
また子供の頃に多動の症状があり、ADHDと診断されている場合でも、大人になるにつれて多動の症状は多くの場合治まっていきます。

 
多動の症状が見られないADHDの場合、ADD(注意欠陥障害)と呼び方が変わる場合があります。
 
 

ADHDの特徴、「不注意」

 
ADHDで特徴的な症状の2つ目は「不注意」です。ADHDの人は、よく忘れものをしたり、集中力が続かないといったことが多く見受けられます。
 
 
《子どもの場合》

     

  • ・忘れ物が多く、ものをよく失くす
  • ・少しの物音などで気が散ってしまい、目の前の作業になかなか戻れない
  • ・興味のあるものには集中しすぎて、他のことが疎かになる
  • ・話しかけられても話を聞いていないように見える。ぼーっとしている
  • ・行動が他の子よりワンテンポ遅れる
  • ・片付けが苦手

 

 
子どものADHDの症状としては以上のようなものが「不注意」としてあげられます。
 
しかし子どもの場合、学校などの生活の場では「不注意」よりも多動や衝動的な行動のほうが目立ちやすいため、「不注意」の症状は見逃されることがたびたびあります)。よって多動の症状がないADHDの児童の場合、障害が発覚しないまま大人に名ある場合もあります。
 
多動のないADHDの場合、ADD(注意欠陥障害)と呼び名が変わるケースがあります。
 
 
《大人の場合》

     

  • ・細事に注意が向かない。仕事や家事がずさんで、最後までやり遂げられない
  • ・会議や、長文を読むことに継続して集中できない
  • ・同じ作業を長時間続けられない。整理整頓や時間管理が苦手
  • ・ちょっとしたことで気が散り、無関係なことを考えてしまう
  • ・重要な書類を忘れたり、折り返し電話や約束を失念してしまう
  • ・「だらしがない」や「無責任だ」と言われる(誤解されやすい)

 
 
大人のADHDにおける「不注意」の症状は子どもの症状と大体は同じですが、子供に比べて日常生活で問題になるケースが多いのが特徴です。
 
この原因としては、子どもの頃に親や教師がフォローしてくれた部分が、大人になったことによりフォローしてくれる人がいなくなる、自分でやらなければならないことが増えるなどが挙げられます。
 
また仕事などでは、一つの不注意が周りに大きな影響を与えるため、上司や同僚から「使えないやつ」などといったレッテルを張られてしまいがちです。
 
 

ADHDの特徴、「衝動性」

 
ADHDの中心的な症状、3つ目は「衝動性」です。
 
ADHDの人は考えるよりも前に思いついたことを口に出したり、実行に移したりする傾向があります。その行動の結果どのようなことが起こるのかを想像するのが難しいのです。
 
そして衝動的な行動を咎められ、その場で謝ったり反省しても、また同じことを繰り返してしまいます。
 
これは故意やっているのでも、学習していないのでもなく、「自分の衝動をコントロールできない」というADHDの特徴のひとつなのです。
 
 
《子どもの場合》
 

  • ・話を全部聞かないうちに、相手を遮って質問に答えてしまう。
  • ・遊んでいるときに順番待ちができない。
  • ・気になるものがあったら安全を確認せずに飛び出す。
  • ・人の邪魔をしたり、ちょっかいを出したりする。

 
 
《大人の場合》
 

  • ・人の話を遮って話し始めたり、質問が終わる前に答えてしまう。
  • ・人の言いかけたことを代わりに完結させてしまう。
  • ・話すことに夢中になって人の話を聞かない。
  • ・他人のものを許可なく使ってしまう。
  • ・他人の行動に割り込んだり、取り上げてしまう。
  • ・車の運転中に無理な追い越しを繰り返す。

 
 

ADHDとアスペルガー症候群、違いはどこ?

 
症状が似ていて、見分けることが難しいともいわれるADHDとアスペルガー症候群。
 
しかし、この2つの発達障害には、症状の意味や支援方法など異なることもあります。
 
そこで、両者の違いを比較対照してみました。
 
 

特性

 
〇不注意
 
・ADHD
 単純な見落とし、詰めの甘さなどが不注意症状としてでてしまう。
 
・アスペルガー症候群
 自分ルールを最優先させ、そこから離れられずに、適応ミスが生じてしまう。それを「不注意」と周囲の人には認識されてしまう。
 
 
〇こだわり
 
・ADHD
 多様な選択肢があると、優先順位がつけられず混乱してしまって、自分が慣れ親しんだ行動を安易に選んでしまう。
 
・アスペルガー症候群
 本人だけに興味のあることに、周囲や状況に関係なく、いつまでもこだわり続けるという症状のかたちで現われる。
 
 
〇集中力
 
・ADHD
 興味のあることには集中するが、別のことに興味がうつるとそちらに集中する。また、不注意の症状があると集中力を持続するのが苦手となる。
 
・アスペルガー症候群
 興味があることやこだわっていることに、いつまでも集中している。同じ行動をくり返すことや規則性のあるものに、とくに高い集中力を発揮する。
 
 

仕事や日常生活

 
〇空気が読めない
 
・ADHD
 じっくり時間をかければ理解できるのに、自分の欲求に従い衝動的に行動に移してしまうので、結果、空気が読めない動きになってしまう。
 
・アスペルガー症候群
 相手やその場の意図するところを読み取ることに関心がなく、自分ルールにこだわって行動を起こしてしまう。
 
 
〇仕事への取組み
 
・ADHD
 ケアレスミスが多くなる。仕事を先送りすることがある。計画的な管理や同じ作業をくり返すことを苦手とする。
 
・アスペルガー症候群
 作業の一部にこだわり熱中して、他のことに手をつけられないことがある。場の空気を読んだりニュアンスを理解するのが苦手なので、優先順位をたてられずマルチタスクがあると混乱する。
 
 
〇計画性
 
・ADHD
 場当たりで衝動的な行動に走りやすく、計画的に取り組むことを苦手とする。
 
・アスペルガー症候群
 規則性を好むので計画的に行動することは比較的得意。反対に、急なスケジュール変更やハプニングに対応できないことが多い。
 
 
〇整理整頓
 
・ADHD
 忘れ物が多く、基本的に整理整頓は苦手。注意力が散漫だと、やりっぱなしやほったらかしも多くなる。
 
・アスペルガー症候群
 こだわっているものを捨てることを極端に嫌がる。たとえ、ちらかっていても本人には規則的に置かれている場合も多い。
 
 

コミュニケーション

 
〇会話にまとまりがない
 
・ADHD
 話題がポンポンと飛ぶ。
 
・アスペルガー症候群
 一つの話題をしつこく細部にこだわって話す傾向がある。
 
 
〇同じ話を何度もする
 
・ADHD
 その人に以前に同じ話をしたことを忘れる。
 
・アスペルガー症候群
 過去のネガティブな経験にこだわり、それを何回も話す。
 
 
〇対人関係
 
・ADHD
 他人の気もちをくみ取ることはできる。しかし、衝動性を抑えられず、人が話しているのにしゃべったり、勝手な行動に出ることも多い。また、もの忘れ、遅刻やうっかりミスで他人を怒らせることも。
 
・アスペルガー症候群
 他人の気もちをくみ取るのが困難。結果、他人を怒らせたりする。また、会話のニュアンスが読み取れず、会話のキャッチボールも苦手なので、対人関係自体を苦手とする。そして、自分のこだわりにのめりこんでいく。
 
 
臨床的な診療において、とくに薬物療法のさいに、ADHDかアスペルガー症候群なのか、その見極めが有用と、姜昌勲(精神科医、臨床心理士)さんは言います。
 
現在、ADHDに使用されているアトモキセチンとメチルフェニデートは、アスペルガー症候群には使用できないとのこと。

 
また、両者が合併している場合、どちらが優位かによって、これらの薬のADHD反応性が異なるような印象があるとも述べています。
 
とはいえ、日常的な対応に関してはADHDでもアスペルガー症候群でも共通しているとのこと。もっといえば、発達障害の人に有効な方法はすべての人に有効とさえ言われています。

 
 

シーン別、ADHDの人の特徴

 
次に、ADHDの人がくらしの各場面で具体的にどのような行動をとるのか、その特徴を見ていきます。
 

シーン1:学校

ADHDは行動に特徴のある障害のため、学校生活では時折その特徴のせいで「浮いた」存在になってしまう場合があります。

 
以下に、ADHDの児童が取りがちな行動と、その対応策をまとめました。
 
 
●授業中に席を立って歩きまわる。座ったままじっとしていられない。
 
ADHDに代表的な多動・不注意の症状です。
 
「動かずにはいられない」というADHDの特徴が顕著に表れている行動なので、それを逆手にとって席を立たなくても小さく体を動かせるような対策を立てましょう。
 
例えば、机の中にやわらかいボールを入れておいて、先生に言われた課題が終わったらたまに握ったりする、といったように、大きなアクションを起こさずに済むようにするのです。
 
もちろんそのときには、「投げて遊んだりしてはダメ」とはっきり伝えます。
 
その他、注意を逸らされそうなものが近くにある席にはしない、騒がしい友達の近くにはしないなど、席順の工夫で集中力が切れやすい環境を緩和できます。このような対策は担任の先生の協力が不可欠なので、家庭と学校でしっかりと話し合い、協力できるようにしてくことが重要です。
 
 
●宿題をよく忘れる。
 
宿題をやるのを忘れてしまうのは、集中力が続かなかったり、他に気を逸らしてしまうことが原因の一つです。
 
家の中で自分が一番宿題のはかどる場所を見つけましょう。保護者の方は子どもがしっかりと勉強に取り組めるような環境探し・環境づくりをサポートしてあげてください。基本的には、注意を逸らすような誘惑(テレビや漫画、騒音など)がない場所がおすすめです。
 
またやるべき宿題が分からなくなってしまわないように、「宿題ファイル」を作ってやるべき宿題はすべてそこにいれ、「完了ファイル」に終わったものから移し替えていくのもいいでしょう。
 
やるべきこととその終わりが目に見えて分かるようにしておくとわかりやすいです。「完了ファイル」は必ず鞄の中に入れておくようにすれば、学校に持っていくのを忘れることもなくなります。
 
ADHDの児童は長時間集中し続けるのが難しいです。宿題は一気に全部やるのではなく、少しずつ休憩を挟みながらやるようにするといいでしょう。
 
 
●机の中がいつもごちゃごちゃ。
 
ADHDの人は整理整頓が苦手です。だから学校の机の中身もいつもぐちゃぐちゃで、プリントを失くしてしまったりします。片づけようと思ってもすぐに気が散って違うことを始めてしまったり…となかなかうまくいきません。
 
このような状態は、最初から使ったものを戻す場所を決めておくとよいでしょう。
 
お道具箱を作って、「ホチキスはここ」「プリントはファイルの中」というようにあらかじめ決めておくのです。これは家での部屋の片づけにも同じことが言えます。
 
知的障害を伴わない発達障害の場合は、きちんとルールをきめておけば案外スムーズにできたりするのです。担任の先生は時折、きちんと机を使えているか気にかけてあげてください。
 
 
●先生からの指示を忘れる。
 
言われたことをすぐに忘れてしまうのもADHDによくあります。
 
このような場合は、口頭で伝えるだけでなくメモを取らせるようにしましょう。「先生の注意やお願いは必ずメモをする」と約束して、習慣にしてしまえば指示を忘れて右往左往してしまうことも減ります。
 
またメモした紙は失くしてしまわないようにファイルに入れたり、見えるところに付箋で貼るなどの工夫をしましょう。
 
 

シーン2:職場

 

  • ・会議などで落ち着かず、そわそわしたり、貧乏ゆすりなど身体を動かす癖が止められない。
  • ・会議など不用意な発言が多い。
  • ・重要なことを周りに相談せず、独りで決めてしまう。
  • ・仕事を最後まで終えられない。ミスが多い。
  • ・仕事に必要なものをよく忘れる。

 
 
これらの症状は職場で見られるADHDの行動ですが、対応策は学校での対策とほぼ同様です。
 
メモを取るようにしたり、必要なものリストを作って見えるところに貼っておく、一日の予定をいつでも見れる場所に置いておくなど少しの工夫で多少の改善はされるはずです。
 
しかし大人のADHDで難しいところは、子どもと違いサポートしてくれる人がほとんどいないことです。子どもなら学校の先生や親がサポートしてくれることを自分で行わなければならないのは大きな困難です。
 
職場の信頼のおける人で、困ったときに助けになってくれる人を作っておくようにしましょう。
 
 

シーン3:家庭

家庭でもADHDによる特徴的な行動は見られます。家族とよく話し合って、協力を仰げるようにしておきましょう。
 
 
●他の事に夢中になって家事を忘れる。
 
家族の誰でも見られる場所に、一日に行う事のリストを貼っておいて、終わったものにチェックをつけていき、家族にも確認してもらいましょう。タイマーや携帯の通知機能なども活用できます。
 
 
●部屋が片付けられない。
 
何をどこにしまうかを明確にしておきましょう。棚にしまうものの名前を書いておくとわかりやすいです。そして使ったものは必ず元の場所に戻す癖をつけましょう。
 
 
金銭の管理が苦手。
 
小遣い帳や家計簿を一日の終わりに必ずつけるようにしたり、親や妻(夫)に協力してもらいましょう。一日に使うお金の量をあらかじめ決めておくのもいいかもしれません。
 
 

ADHDの特徴:女性にはどんな特徴がある?

 
ADHDは、一般的に女性より男性のほうが多いといわれてきましたが、専門医によれば、ADHDの女性は決して少なくないそうです。
 
ただ、男性に比べて女性のADHDは気づかれにくく、本人が「ミスの多さ」や「同性に嫌われること」、「スケジュール管理の難しさ」などに悩んでいても、なかなか診断が得られません。その結果「もっとしっかりしなさい」などと叱責され、ストレスを溜めてしまい、男性の場合に比べて、うつ病などの気分障害になることが多いと言われています。
 
女性のADHDに多く見られる特徴は以下の通りです。
 

  • ・人の話を最後まで聞けない
  • ・机の上が乱雑、部屋は足の踏み場もない
  • ・あれもこれも、やりかけ
  • ・ゴミの日にしょっちゅう出し忘れる
  • ・伝票の数字を書き写すだけでもミスがいっぱい
  • ・約束の時間に遅刻してしまう
  • ・自分なりに頑張っているのに「怠け者」「横着」と言われる
  • ・あす引越しなのに荷造りに集中できない
  • ・期限ギリギリまで(過ぎても)支払いをしない
  • ・しょっちゅう転んだり、ぶつけたり、指を切ったりしている
  • ・きのうの夕食を思い出せない
  • ・さっき教えてもらったばかりなのに、すっかり頭から消えている
  • ・何度も同じミスをする
  • ・しょっちゅう茶碗を割ったり、鍋を焦がしたりする
  • ・独り言や、ひとりで笑ってることが多い
  • ・方向音痴、地図が読めない
  • ・わけもなく落ち込んだり、急に泣いてしまう
  • ・セーターを編み始めるとやめられなくなり、徹夜してしまう

 
 
また、恋愛や結婚では、ADHDの女性は自己評価がとても低いために、「よりによってなんであんなダメ男と?」と、周りが首をかしげるような相手ばかり選ぶ傾向があります。
 
(出典:「それって大人のADHDかもしれません」 星野仁彦著)
 
また、診断基準が男性向けになっているせいか、女性はADHDがあっても基準に該当する状態にならず、診断が出ない場合があります。診断に当てはまらないADHDの女性にみられる特徴には、以下のようなものがあります。
 

  • ・恥ずかしがりや
  • ・内気で恥ずかしがり屋。自分から動いたり、しゃべったりしない。
  • ・動作や反応が遅い。何をするにも時間がかかる。
  • ・昼間はいつも眠そうにしている。夜は考え込んでしまって眠れず睡眠も浅い。※
  • ・女性同士の付き合いで気配りができず、同性に嫌われる。
  • ・いろいろ考えすぎて時間がない中に用事をつめこんでしまう。
  • ・なかなか決断できず、結果的に衝動的な判断をしてしまう。
  • ・まわりの人に認められたいと思っている。自分に対する評価を気にしてしまう。

 
(出典:「女性のADHD」 宮尾 益知著)
 
 
ADHDの女性は、男性なら許されることでも女性であるがゆえに許されないことも多く、「女のくせに掃除もできないのか」と非難され、辛い立場に追い込まれがちです。
 
強い衝動によって、子供を叱りすぎる悩みがなかなか解消されない女性の場合は、その陰にADHDが隠れている場合もあります。
 
女らしさを求められたり、家事・育児・仕事をこなさなければならなかったり、ADHDの女性は男性よりも多くの役割を背負わされ、生きづらさを感じてしまいがちです。
もしあなたが女性で、このような特徴が多くあてはまるようであれば、専門医のもとで治療をすることで改善する可能性があります。
 
 

人間関係は難しい?

 
ADHDの人はその特徴的な行動から、時に周りから煙たがられてしまう事が多々あります。その原因の多くが、衝動的な発言や自分のことばかり話して相手の羽佐氏を聞かない態度、約束を忘れてしまうといった一見不誠実に見える行動です。
 
しかしこれらの行動は、例えばメモを取ったり、衝動的に傷つけるような事を言ってしまったときには素直に謝ったり、些細な工夫で少しは改善するはずです。
 
上記で紹介した日常のシーンごとの特徴や、普段の自分の行動を振り返ってみましょう。またどうしてもどうしたらいいかわからない場合は、信頼できる人に素直に聞いてみるようにしましょう。
 
 
ADHDの人は時に、自分の行動や他者からの評価に傷つき落ち込んでしまい、自己評価が著しく低くなってしまいます。
 
またADHDの子供を持つ親は、自分の育て方が悪いのではないかと悩む人もいます。しかしADHDの症状は、その人にあった対策方法を考えることでフォローしていくことができます。
 
周りとの関係がうまくいかないのは自分のせいではないし、子どもの落ち着きがなく学校でトラブルになるのは親がしつけをできていないからというわけでもありません。
 
ADHDについての正しい知識を持ち、専門家や学校、家族などと協力して、「自分が悪い」と思い詰めないようにしましょう。
 
 

ADHDの治療法について

 
生まれつきの脳の偏りから生じるADHD。
 
医学的な処置によって治療することは至難ですが、その行動特性を日常生活に適応するよう対処することが可能です。
 
このために現在、薬物療法、環境調整法、認知行動療法を3本柱に、セルフコントロール力をつけることが目論まれています。
 

薬物療法

 
コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)やストラテタ(ADHD治療薬)をもちいて症状を抑える
 
 

環境調節法

 
自分の苦手な部分を補うよう、たとえば、忘れっぽいことにはスマホのリマインダー機能を活用するなどを学習する。
 
 

認知行動療法

 
SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)などによって、認知の偏りを改善し、場面に適切な行動がとれるようにトレーニングをする
 
 
 
【参考文献】
TEENS 発達障害のある小中高生向け 放課後等デイサービス『統計データ』 
・ロバート・J・レズニック(臨床心理学協会)(2003).成人のADHD 臨床ガイドブック 東京書籍株式会社 pp.35-39
・マーク・セリコウィッツ(発達小児科コンサルタント)(2000).ADHDの子どもたち 金剛出版 pp.16-24
・Alison Munden(バーミンガム小児病院オークランズ・センター児童青年精神科医) & Jon Arcelus(バーミンガム小児病院オークランズ・センター児童青年精神科医)(2000).ADHD 注意欠陥・多動性障害 親と専門家のためのガイドブック 東京書籍株式会社 pp.27-41
日本イーライリリー株式会社『親と子のためのADHD.co.jp』
・キャスリーン・ナドー(メリーランド・チェサピーク心理科サービス主任)&エレン・ディクソン(臨床心理科医)(2007).きみもきっとうまくいく 子どものためのADHDワークブック 改訂版 東京書籍株式会社 pp.17-24,39-54
大人のためのADHD.co.jp
・姜昌勲『大人の発達障害診断マニュアル』中外医学社、2014.

 
 
<執筆者プロフィール>
須賀 香穂里(すが・かほり)
神奈川大学人間科学部・人間科学科所属
 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

 
 

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関連した情報として以下がありますので、ご参考にしてください。
 
◆厚生労働省が運営する、生活習慣病予防のための健康情報サイト『 e-ヘルスネット』ではAD/HD(注意欠陥/多動性障害)の診断と治療というページでADHDについて紹介しています。
 
◆Mocosuku運営の姉妹サイト
 
「ADHDの原因 ってなに?脳の機能障害?遺伝も関係するの?」
 
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自閉症スペクトラム (ASD)とアスペルガー症候群との関係は?
 
◆ADHD含む発達障害を分かりやすく説明した動画
 

 

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